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2016.01.29
スマホ電波がアルミ箔や鉄缶で遮断できない理由
質問:スマホ電波がアルミ箔や鉄缶で遮断できない理由
アルミホイルで二重に包んでクッキーの鉄の箱に入れてリュックの中に入れても電話がちゃんとかかります。
高校のとき物理の授業で金属で完全に覆ったら電波は届かないと教えてもらった記憶があるんですがなぜですか。
また、インターネット回線もこの状態で通じてメール出したら音がするんですが何で妨害器できないんでしょうか。
答え1:アルミ箔でくるんでも電波が届いたのは、隙間があったからでしょう。さらに電波が強かったり、携帯の感度が良かったのでしょう。
800MHzの電波の波長は375mmで、2.1GHzの電波の波長は143mmです。これらの波長の1/4くらの長さがあるまっすぐな導体は良質のアンテナになります。逆に導体中の隙間(スロット)も同様にアンテナになります。
アルミ箔自体はほとんどの電波を通さないし、完全に囲えばファラデーケージとなり、理論的にどんな電界も内部には存在できません。ということは、やはり隙間があって、それが効率の悪いアンテナになったことで内部で電波が受信できたのでしょう。
なお、アースは全く関係ありません。そもそもアース線という線自体が波長以上の長さを持つでしょう。そんな導体は高周波がどう流れるか、簡単には解りません。導線だから流れるというのは周波数が低い場合だけです。たとえ100kHzでもアースにするのは大変な仕事です。線ではだめで面を使ったり、周波数が一定なら1/2波長の整数倍にするとか、かなりの工夫をしないと長い線に電流を流すことすらできないのです。
答え2:アルミホイルとスマホの内蔵アンテナは直接接触していないので、wifi電波遮蔽とスマホ間にコンデンサを挟んだのと同じことになり、アルミホイルに共振した電波がスマホに誘導して伝わります。
対策としては、スマホのGND(内蔵電池のマイナス端子や、コネクタのGND部分)とアルミホイルを電線で接続する必要があります。
これではじめてシールド効果が望めると思います。
答え3:電話がかかるのも、メール着信も、要は電波が届いているからですね。
以下のWebページで、ご質問と類似する、電波遮断の実験を紹介しています。
波長の長い電波を使うラジオだと調理用金網くらいで遮断でき、波長の短い電波を使う携帯では非常に細かい網の目でないと無理で、しかもときどきつながることもあるという結果になっています。
盗聴遮断機の波長が短いほど、メッシュが細かくないといけないことは分かります。メッシュが充分に細かくても、隙間があればメッシュが粗いのと同じことになりますね。アルミホイルだとメッシュはないわけですが、くるんだアルミホイルの隙間はできてしまいます。電波強度が高い場所だと、たった一つの隙間が多少大きいだけで、電波が届いてしまいます。
関連サイト